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 第 118 回 日展 「授賞作品」

日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書
「授賞作品」

公益社団法人 日展
(令和 7 年 10/31~ 11/23 東京展
国立新美術館) 開催中。


第 118 回 日展 「授賞作品」
内閣総理大臣賞・文部科学大臣賞・東京都知事賞


内閣総理大臣賞( 2 名)


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日本画《微風》岸野 圭作

内閣総理大臣賞 日本画 《 微 風 》
岸野 圭作 会員
(長野)


 画面全体に描かれたのは、小さな実を付けた葉の群れのみ。
右上方から左下方に向け、対角線に朱赤の光が走り、ドラマチックな様相を表出する。
葉群れの上を吹き渡る微かな風の動きが、植物の生命感を伝え、光と影の強烈なコントラストが作品に深みをもたらした秀作である。



内閣総理大臣賞 洋画 《 マイ・ウェイ 》
大谷 喜男
 会員(栃木)


長年に渡り、画面上にサーカスのピエロを登場させ、自己の生き方を投影させたテーマを追求して来た。
大胆な画面構成を基軸とし、色彩にコントラストを効かせ、フォービックな筆致で力強く表現している。
今作では、一層作者の心情が作品に込められており、その熱量が見る者の心に深く染み入って来る。

洋画《マイ・ウェイ》大谷 喜男


文部科学大臣賞( 3 名)


彫刻《双笛譜》堤 直美

文部科学大臣賞 彫刻 《 双笛譜 》
堤 直美 会員
(静岡)


 二人の女性像が背を合わせ、こちらに向って笛を吹く。
二人の人体が作り出すハーモニーが見事である。
ボリュームのある具象表現はグレコ・ローマン彫刻の、文展初期からの典型の歴史を伝えているようである。
カールした髪が互いにからむように、笛を奏でる二人は呼吸がぴたりと合い、繊細な指使いも乱れなく、素晴らしい表現である。



文部科学大臣賞 工芸美術 [漆] 《 生命の泉 》
村田 好謙 
会員(京都)


白い葉脈が這う巨大な円形オブジェ。
降り注ぐ雨のしずくは泉を生み、奥行きを感じさせる中央の煌めくブラッドレッドは、
作者の意図する生命の泉であろうか、地の底か、限りない宇宙の果てか…。
メタル、水晶、漆、ガラス、金、プラチナ、貝と多彩な材質を用いる独創の技が効果的である。
日展・工芸美術の会場に際立つ存在感を示ている。



書《杜甫詩》伊藤 一翔

文部科学大臣賞 書 《 杜甫詩 》
伊藤 一翔
 会員(兵庫)


 学書して来た古典に裏付けられた線質と造形が見事である。
ことに行のうねりによる空気の流れがあり、ことに4行目を押さえ気味に執筆し、巧みに美しい余白を生み出している。
これに加えて自らの美意識を表現しており、全体のまとまりが素晴らしい。



東京都知事賞( 5 名)


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日本画《温室》大豊 世紀

東京都知事賞 日本画 《 温 室 》
大豊 世紀 会員
(京都)


 息づまるような温室の熱気と生命力を抽象性の高い濃密な描写で表現している。
近づくと金箔の箔足が見え、豪華な花火のような植物も温室の屋根を透かす空も重厚で複雑な顔料の重層によって生み出されていることがわかる。
青い蝶が空間に舞っている。人工物の直線と奔放な植物の運動感の融和が作品に秩序をもたらしている。



東京都知事賞 洋画 《 赤瓦のある島の集落 》
平野 行雄
 会員・審査員(埼玉)


 特に強い個性はみられないが、沖縄の島の雰囲気がよく表われていて好感が持てる。
現場に行って描いているのがよくわかる。
現場写生の大切さを示しているといえる。
色がさわやかな事もひとつの要因である。
永く人物画を描いていたが今回の風景画の作品は傑出しているといえる。

洋画《赤瓦のある島の集落》平野 行雄


彫刻《いつの日か》島田 見根夫

東京都知事賞 彫刻 《 いつの日か 》
島田 見根夫
 会員(富山)


 「体幹堂々」という言葉の浮かぶ木彫男性像である。正面を向いた裸足の立ち姿は実に安定している。
と同時に「春風到来」と呼びたくなる柔和な表情は、心の平和を感じさせる。
人間とは何か、その美しさとは何かを考えながら制作するのが日展の彫刻である。
この立像は、作者の強く優しい人間観を素直に表わす秀作である。



東京都知事賞 工芸美術 [染] 《 阿蘇煌然 》
高津 明美
(本名:津山 明美) 会員(熊本)


 阿蘇と取り組んだ積年の結晶ともいうべき集大成の作品である。
外輪山の重層する山波を、赤色系統の諧調のもとに蝋染技法を駆使し、ソフトに仕上げた快心作である。
とくにこの作品は朝夕に気象の変化に伴い変容する瞬間的な山容の情景を見事に繊細優美に捉えた円熟の作である。

工芸美術《阿蘇煌然》高津 明美


書《月待つと》野田 正行

東京都知事賞 書 《 月待つと 》
野田 正行
 会員(福岡)


 素材とした和歌、用いた料紙、そして書きぶりがよく調和している。
潤筆、渇筆を巧みに織りまぜ、躍動感溢れる書である。
また、文字の大小、おさまりの良さは筆者の鍛錬の成果といえよう。
暖かい丸味のある線、切れ味の鋭い線の調和のさせ方には感心させられた。



・作品受賞理由の批評は日展評です。
(陳列点数、日本画 288点、洋画 663点、彫刻 206点、工芸美術 571点、書 1,279点 合計 3,007点)



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